タイラー・ザ・クリエイター

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タイラー・ザ・クリエイターについて

2008年ごろにタイラー・ザ・クリエイターが全国的に名前を知られ始めたとき、彼はともすれば一発屋、言い換えれば、注目されたくて手当たり次第になんでも(大量殺人、レイプ、カニバリズムなど)扱いたがる生意気な若者と片付けられる存在だった。しかしその後、数年のうちに彼はヒップホップの真の博識家へと成長し、ラップ、作曲、プロデュース、アートディレクションだけでなく、服のデザインやテレビ番組の制作まで手掛ける独立したブランドに進化した。攻撃的かつ超現実的で、辛辣(しんらつ)で無邪気なほど内省的な彼のビジョンは、自分の感情をうまくつかめずにすぐに手放してしまうオーディエンスの自我を捉えていたのだ。1991年に生まれ、ロサンゼルス郡で育ったタイラー(本名Tyler Okonma)は10代初期に音楽を作り始め、2007年にはコレクティブのOdd Futureを共同創設する。メンバーの中には同じく常識破りなEarl Sweatshirt、フランク・オーシャン、Syd Tha Kydがいた。Pharrell Williamsの多彩な音楽性と、強烈な印象を残す彼独自のモノローグにインスパイアされ、2011年に正式なデビューアルバム『Goblin』を発表した。そのアルバムタイトル曲でのラップはこうだ。「ワオ、人生は女性ホルモンにあふれたかわいいビッチだ。彼女がレモンを投げてよこしたら、ブラザー、道行く人に投げつけてやれ (Wow, life’s a cute b***h full of estrogen, And when she gives you lemons, n***a, throw ’em at pedestrians.)」。ぶしつけで悪夢のように辛辣に響くこのアルバムは彼をアンチヒーローに仕立て上げ、悪評によってタイラーはより一層ファンに愛されるアーティストになった。『Wolf』(2013年)と『Cherry Bomb』(2015年)では同じく精神的な領域を追求しつつもニュアンスを徐々に進化させ、「FIND YOUR WINGS」ではソウルジャズを、「Tamale」ではラテンミュージックを、そして「Awkward」では1990年代R&Bを掘り下げ、作品自体もより洗練されていった。まるで不協和音とカラフルさが共存し、あらゆる色合いの悪い感情が虹を織りなすかのように、そのサウンドはファンを魅了していく。2017年にリリースした『Flower Boy』では、弱さをさらけ出した表現と多彩なサウンドを取り入れた面でひとつ成長した様子がうかがえる。若きパンクスから複雑な若者への成長を示したこのアルバムは、最終的にグラミー賞にもノミネートされた。その一方で、彼は時間をやりくりして3つのテレビ番組(『Loiter Squad』『Nuts + Bolts』『The Jellies』)を手掛け、ストリートウェアのブランドであるGolf Wangを立ち上げ、Camp Flog Gnaw Carnivalという毎年恒例のフェスティバルも創設。彼以前のカニエ・ウェストやPharrell Williamsのように、そして彼以降のブロックハンプトンのように、タイラーはヒップホップの新たな時代を象徴している。アイデンティティとセクシャリティを操りつつ、スケート文化やセラピートーク、インターネット上のめくるめく奇妙な人生など、さまざまな影響を取り入れることで、ラップのボキャブラリーを広げながらも、過去を継承し続けている。そして2019年には、それまでのキャリアの中で最も感情的で胸の内をさらけ出したアルバム『IGOR』を発表した。

出身地
Hawthorne, CA, United States
生年月日
1991年3月6日
ジャンル
ヒップホップ/ラップ
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